インタビュー:海野 勝人 氏(UNNO十番) × 上野 正人(日本提携支援)
海野 勝人 氏
22歳で独立し人材派遣から事業を起こす。現場経験から解体業の非効率を痛感し、数字に基づく経営を広げるべく見積りSaaS「解体くん」を開発。業界改善と次世代育成に挑む実業家。
■ 後継者不在と“取引コードの壁”──努力で超えられない現実
上野:まずM&Aを検討し始めたきっかけを教えてください。
海野様:一番は後継者不在です。それに、昔は努力で大手ゼネコンとの取引コードを作れましたが、今は新規でコードを取るのが非常に難しい状況で。この先10~20年かけて道を開くより、すでにコードを持っている会社の傘下に入ることの方が現実的だと判断しました。
上野:事業の方も売上が増加していた時期でしたよね?
海野様:そうですね。ただ、自分のなかでも「会社としてのピーク」を感じ始めていて、“早いタイミングで託す”という判断は合理的だと思い、M&A仲介会社の話を5年前くらいから聞き始めるようになりました。
■ 価格ではなく「相性と現実味」。最終的に残った2社の提案
上野:仲介会社選びでは何が決め手となったのでしょうか?
海野様:M&A仲介会社とは4~5社とお会いしましたが、なかには机上の空論に近い提案や、上場企業との非現実的な組み合わせもありました。最終的に残った仲介2社の提案は、シナジーの現実性、担当者の誠実さ、そして地域的な相性が非常に良かったです。
上野:最終的には、弊社でご紹介した仲介2社と同時並行でM&Aを進められましたが、どのような判断軸でお相手を選ばれたのですか?
海野様:両社ともにTOP面談まで進み、ありがたいことに両者から意向表明もいただきました。非常に迷いましたが、最終的には買収経験がある買い手様の方を選びました。過去にも数社買収されていたのが安心材料となりましたね。また、価格や条件自体は両社とも納得のいくものでしたが、選んだ買い手様のにじみ出る相性の良さを直感的に感じていました。
■ 現金で受けない決断──“収益不動産”で受領した理由
上野:今回の対価の受け取り方は特徴的ですね。
海野様:当初、株式の対価は現金で受け取る予定でした。ただ、インフレ環境では現金の価値が目減りしてしまう。そこで、現金ではなく “収益不動産” で受け取る形を選びました。家賃収入は物価とある程度連動しますし、再投資の手間も抑えられます。
上野:なるほど。聞くだけで複雑なスキームになりそうなのが分かりますね(笑)。
海野様:そうですね(笑)。特に、税率面では悩みました。株式譲渡益と不動産譲渡益では扱いが異なるので。ただ、長期的な価値維持とキャッシュフローを考えれば、この形が最適だと判断しました。アドバイザーも非常に丁寧に動いてくれて、安心して進めることができました。
■ M&A進行時の資料対応、日程変更──“丁寧さ”が最後をつくった
上野:売却の進行中、特に大変だったことはありましたか?
海野様:必要資料の対応やスキーム変更は想像以上に大変でした。契約の日程が直前で変更になった時はさすがに不安でしたが、アドバイザーの丁寧な進行で無事着地しました。
上野:なるほど。担当アドバイザーが最後まで確りと進行してくださったのですね。
海野様:そうですね。本音を言えば、ここまでM&Aに注いできた時間と気力を思うと「これで決まらなかったら正直きついな」という気持ちもありました。ただ、担当のアドバイザーが一つ一つ丁寧に状況を説明してくれて非常に安心でした。
■ 仲介をしない“中立なハブ”だからこそ生まれる安心感
上野:日本提携支援について、当初はどのように受けとられていました?
海野様:正直、M&A業界は怪しい手紙や営業も多くて、当初は警戒していました(笑)。ただ、日本提携支援さんは“自社が仲介をしない中立なハブ“として動く。売り手と買い手の利益相反が起きにくく、安心して相談できました。また、ご紹介いただいた仲介2社に同時並行で依頼するスタイルも、面談の質を上げるうえで非常に良かったです。
■ 経営者様へのメッセージ──49歳からの挑戦
上野:会社をご売却される背景には、他事業に注力するためとも伺っておりましたが?
海野様:はい、今は「解体くん」というSaaS事業に集中しています。月額4万円程度のサブスクモデルで、解体業者が簡単に見積りを作れるシステムです。ありがたいことに毎月ユーザーが着実に増えていて、サービス品質に徹底的にこだわっていきます。
上野:まさに第2創業ですね!最後に経営者様にメッセージをお願いします!
海野様:50代前に売却すれば、次の挑戦に十分な時間が残っています。社員の待遇改善や将来の安心も、大きなグループに入る方が実現しやすいです。「自分がいなきゃ回らない」はただの思い込みです。価格に固執するより “タイミングと次の一手” が大事です。それが結果的に会社と社員を守る道だと感じました。
上野:本日は貴重なお時間をいただきありがとうございました!
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