インタビュー:岡村 雅信 様(UPDATA/東京都)
大学在学中に公認会計士を目指す傍ら、UPDATA創業に参画。デザイナーやプロデューサーとして経験を積み、不動産テック事業を立ち上げ、事業責任者として主力事業へと育てる。その後、取締役を経て、2019年に全株式を買い取り代表取締役に就任。ビジネスサイドが自由にデータ活用をできる世界を実現するために、ノーコードデータ基盤「DataMage」の構想を進め、2023年に正式ローンチを実現。2024年には「MagicSuccess」としてピボットし、事業責任者・プロダクトオーナー・カスタマーサクセスを兼任し、世界最高のプロダクト開発に尽力。一般社団法人日本カスタマーサクセス協会の常任理事。元一般社団法人不動産テック協会理事。趣味は筋トレ(ベンチプレス130kg)とサウナで、家族は妻と猫3匹。
「資金調達環境に左右され、数年前と今とのバリュエーションの環境が違う」「株式の希薄化を避けながら新事業に投資したい」。多くのスタートアップ経営者が直面するこの壁を、株式会社UPDATA(旧ダイヤモンドメディア)の岡村雅信社長は「M&Aによる事業売却」というカードで突破しました。
外部資本に頼るのではなく、自社が育てた事業を資本に変え、次なる成長事業へ一点突破する。単なる出口戦略ではない、「攻めのファイナンス」としてのM&Aの全貌と、その過程で得た生々しい教訓を語っていただきました。
■2019年、代表取締役に就任。Day1から歩んだ事業への自負。
—— まずは岡村社長のご経歴と、UPDATA様の歩みを教えてください。
岡村様: 私のキャリアは、この会社そのものと言っても過言ではありません。自分が大学3年生だった2007年の創業初日から関わっており、当初は受託開発からスタートしました。その後、不動産領域のSaaS「ダイヤモンドテール」を立ち上げ、2019年に代表を引き継ぎました。
代表を引き継いだ経緯としては、2019年頃に今後の会社の方向性を検討する中で協議を重ねた結果、周囲の後押しもあり、自身が代表に就任することとなりました。引き継いだ後はDay1から全ての苦楽を共にしてきた事業だからこそ、その価値を誰よりも信じて経営してきました。
■調達から「売却」へ方針転換。イベントをきっかけに本格検討開始。
—— M&Aを検討し始めたのは、どのようなきっかけだったのでしょうか?
岡村様: 当初はエクイティ(株式)での資金調達を第一に動いていました。しかし、新事業への投資を見据えた際、自分の希望するバリュエーションと市場の評価にギャップを感じる場面があったんです。
「このまま調達に時間を費やすべきか?」と悩んでいた2025年4月、イベントの席で日本提携支援の大野代表に会い、そこで「事業を切り出し、売却益を原資に次の事業を育てる」という選択肢が現実味を帯びました。外部からの負債やエクイティの希薄化を伴う調達ではなく、自社資産を資本化する。この「戦略的売却」こそが、今の自分たちに最適なファイナンスだと直感しました。
■5社比較で見えた「仲介」の違い。日本提携支援経由で最短ルートを選択。
—— 多くのM&A支援会社を比較された中、最終的にどのようにして進めましたか?
岡村様: 日本提携支援さんからM&A支援会社を5社ほど紹介いただき比較しましたが、会社によって動くスピードや提案数が全く違いました。今回は初めてのM&Aだったこともあり、1社に絞るのではなく複数社に並行してお願いする方が可能性が高いと考え、最終的に4社にお願いすることにしました。
通常、形式的なマッチングで終わることが多い中、ご紹介いただいた各社は常にアクティブに動き、こちらの状況を汲み取ってディールを前に進めてくれました。複数のM&A支援会社を並行して走らせるのは、どうしても管理工数や情報漏洩リスクが増えますが、日本提携支援さんが予めフィルタリングした上で紹介してくれたので、M&Aの質が担保された状態を維持したまま、最終的には最短距離で非常に優良な買い手と一緒になれました。
■意外な盲点「契約移転」と「手残り」。経験者が語るM&Aの裏側。
—— 実際に進めてみて、事前に知っておきたかった実務上のポイントはありますか?
岡村様: 売り手が最も知るべきは「最終的な手残り金額の算出方法」です。事業譲渡における消費税の扱いや、デューデリジェンスで何が減額対象になるのか。また、進めていく中で、法務チェックだけでも想定以上の金額がかかることや、契約移転のために全顧客から同意書を取る膨大な工数が発生することなど、自分が当初イメージしていたものとはギャップがありました。
全体的なスケジュール感も含め、こうした「見えない実務コスト」の解像度を事前に上げておくことは、戦略的な調達としてのM&Aを成功させる上で不可欠だと痛感しましたね。
■決め手は「技術」と「将来性」。不足分は自らの成果で補う。
—— 最終的に、今の買い手企業に決めた「一番の決め手」は何でしたか?
岡村様: 譲渡先としての「質の高さ」です。エンジニアの技術力も組織力も申し分なく、この会社なら事業をさらに大きくしてくれると確信できました。また、将来設計においても決して絵空事ではない納得感のある内容だったため、最後の背中を押してくれました。
■周囲には言えない本音を託す。孤独な交渉を支えた「参謀」の役割。
—— 最後に、日本提携支援が介在した価値をどう感じていますか?
岡村様: 仲介会社は「双方代理」という性質上、100%売り手の味方にはなれません。交渉事ですから、構造上、どうしても避けられない側面があります。
そこを日本提携支援さんが「経営者の参謀」として、孤独な交渉の中で適切なアドバイスをくれました。仲介会社と経営者の間に立ち、戦略的なセカンドオピニオンを提供してくれる存在がいたからこそ、このディールも納得感を持って成約まで辿り着けました。
資金調達としてのM&Aを志すなら、なんでも相談ができる「もう一人の味方」を持つことを、強くお勧めします。
編集後記:成功を引き寄せる鉄則
岡村社長のインタビューから見えたのは、M&Aを「ゴール」ではなく「ファイナンス手法」として使いこなす起業家の姿でした。
- M&Aを「調達の選択肢」として常備する
- 仲介とは別に、自分の立場に立つ「参謀」を置く
- 実務の「見えないコスト」を精査する
この3点が、次なる成長へのチケットを手にするための鍵となります。
この記事を読んで: 「自社の場合、事業売却でいくら調達できるのか?」「適切な参謀はどう見つけるべきか?」と気になった方は、ぜひ日本提携支援までご相談ください。貴社の戦略に合わせた最適なプランをご提案します。
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