
監修者
株式会社日本提携支援 代表取締役
大野 駿介
過去1,000件超のM&A相談、50件超のアドバイザリー契約、15組超のM&A成約組数を担当。
(株)日本M&Aセンターにて、年間最多アドバイザリー契約受賞経験あり。
新規提携先の開拓やマネジメント経験を経て、(株)日本提携支援を設立。
長年心血を注いで築き上げてきた貴社の事業を、未来へ繋ぐこと。それは中小企業経営者にとって最も重要な責務の一つである一方、親族内に後継者が見当たらない、あるいは事業を継ぐ意思がないといった理由から、頭を抱えるケースが少なくありません。こうした状況において、親族外承継は、単なる「後継者不在の解決策」に留まらず、事業の存続と発展、さらには新たな成長を実現するための有効な経営戦略として、今改めて注目されています。NTSでは、この親族外承継を外部の視点や新しい発想を取り入れることで企業価値を高め、事業のさらなる成長機会と捉え、50代から70代の経営者の皆様に具体的な道筋と成功の秘訣をお伝えしたいと考えています。
1. 親族外承継とは? 事業継続の新たな選択肢
1-1. 親族外承継の定義と注目される背景
親族外承継とは、文字通り、親族以外の役員や従業員、あるいは外部の第三者に事業を承継することを指します。一般的には「従業員承継」や「第三者個人承継」といった形がこれにあたります。
近年、少子高齢化の進展や多様な働き方の普及により、親族内で事業を承継することが難しい企業が増加しています。中小企業庁のデータでも、親族内承継の割合が減少傾向にあることが示されており、その代わりに親族外承継の重要性が高まっているのが現状です。NTSでは、親族外承継を単なる後継者不在の解決策ではなく、外部の視点や新しい発想を取り入れることで企業価値を高め、事業のさらなる成長機会と捉えるべきだと考えています。
1-2. 親族内承継、M&Aとの違い
事業承継の方法には、主に「親族内承継」「親族外承継」M&A(第三者承継)の3つがあります。それぞれの特徴を理解することは、貴社にとって最適な方法を見つける上で重要です。
親族内承継は、ご子息やご親族に事業を引き継ぐ伝統的な方法です。早期からの後継者育成が可能である反面、親族内に適切な人材がいない場合や、後継者が事業承継を希望しない場合には成立が困難となります。
M&A(第三者承継)は、事業全体または一部を外部の企業に売却するものです。これにより、広く候補先を探すことができ、創業者利潤の確保も期待されます。しかし、経営統合後の企業文化の違いによる摩擦や、既存の従業員への影響が懸念されることもあります。
親族外承継は、M&Aと似ている部分もありますが、特に「社内からの承継」を前提とする点で異なるのが特徴です。社内の役員や従業員が後継者となる「従業員承継」の場合、企業文化や事業内容への深い理解があるため、比較的スムーズな移行が期待できます。NTSの現場では、親族外承継とM&Aを混同される経営者の方もいらっしゃいますが、承継の範囲や目的、関係構築の深さにおいて明確な違いがあります。特に、従業員承継は、事業への愛着や理念の継承が期待できるため、NTSが支援する事業承継の理想形の一つであると私たちは考えています。
2. 親族外承継のメリットと留意すべき点
2-1. 承継元・承継先の双方にとってのメリット
親族外承継は、承継する側(売主)と承継される側(買主)の双方にとって、多くのメリットをもたらします。
承継元(売主)のメリットは、主に以下の点が挙げられます。
・企業文化や理念の維持: 社内の人間が引き継ぐ場合、長年培ってきた企業文化や経営理念が維持されやすい点が大きなメリットです。
・従業員のモチベーション維持: 慣れた経営体制が維持されることで、従業員の雇用の継続性が高まり、モチベーションの低下を防ぎます。
・経営の安定性: 事業内容を深く理解している人材への引き継ぎとなるため、移行期間中の事業への影響が少なく、経営の安定性が保たれやすいでしょう。
一方、承継先(買主)のメリットは、以下の通りです。
・事業内容への深い理解: 既に事業に携わっているため、即戦力として経営を担うことができ、新たな学習コストを抑えられます。
・信頼関係の構築済み: 既存の従業員や取引先との関係性が既に構築されているため、スムーズな事業運営が可能です。
・早期の意思決定: 社内での実績と信頼があるため、経営者の判断が迅速に行える基盤があります。
NTSでは、これらのメリットを最大化するため、承継元と承継先の双方の意向を丁寧にヒアリングし、最適な承継プランを立案することから支援を始めています。
2-2. 留意すべきデメリットと潜在リスク
親族外承継にはメリットが多い反面、留意すべきデメリットや潜在リスクも存在します。これらを事前に把握し、対策を講じることが成功への鍵となります。
■ ・資金調達の難しさ
後継者個人の資産状況によっては、株式や事業用資産の買取資金の調達が難しい場合があります。特に中小企業の場合、その規模によっては多額の資金が必要となるため、金融機関からの融資が不可欠となることがあります。
・連帯保証・担保の問題: 現在の経営者が会社の債務保証をしている場合、後継者がその保証を引き継ぐ際に、後継者個人の資産を担保に入れる必要が生じるケースがあります。これは後継者にとって大きな負担となる可能性があります。
・他の従業員からの反発: 社内での承継の場合、選ばれなかった他の従業員からの不満や軋轢が生じる可能性もゼロではありません。円滑な承継のためには、公正な選定プロセスと丁寧な説明が求められます。
NTSの現場では、特に「連帯保証の引き継ぎ」に関する不安を抱える経営者が多くいらっしゃいます。私たちは、金融機関との調整支援や、経営者保証ガイドラインの活用など、具体的な解決策を提案することで、これらのリスクを最小限に抑えるよう努めています。
3. 親族外承継を成功させるための具体的なステップ
親族外承継は、長期的な視点と計画的な準備が不可欠です。NTSでは、以下のステップに沿って、経営者の皆様をサポートしています。
3-1. STEP1: 準備と現状把握
親族外承継を検討する上で、まず貴社の現状を客観的に把握し、将来のビジョンを明確にすることが出発点となります。
■ ・現状分析
会社の財務状況、事業内容、強み・弱み、経営課題を詳細に分析します。これは「事業承継計画」の基礎となります。売上構成、顧客基盤、組織体制なども含めて多角的に評価することが重要です。
・経営者の意思確認: いつまでに、どのような形で、誰に事業を託したいのか、経営者自身の明確な意思を固めることが不可欠です。この意思が曖昧だと、後のプロセスで方向性が定まらなくなることがあります。
NTSでは、この初期段階で地方自治体との連携協定実績や600件以上の相談実績を通じて培ってきたノウハウを活かし、客観的な視点から貴社の現状を評価し、経営者の方々と共に理想の承継像を具体化していきます。
3-2. STEP2: 後継者の選定と育成
適切な後継者の選定とその育成は、親族外承継の成否を分ける最も重要な要素の一つです。
■ ・後継者候補の特定
社内外から、経営能力、リーダーシップ、事業への理解度、そして企業文化への共感度などを考慮し、最適な後継者候補を検討します。社内からの登用であれば、既存の信頼関係を活かせます。
・育成計画の策定: 候補者が決定したら、経営に必要な知識やスキルを習得するための育成計画を立てます。OJT(On-the-Job Training)はもちろんのこと、外部研修や経営者団体への参加などを通じて、多角的な視点と実践力を養いましょう。
NTSが支援したあるケースでは、後継者候補が既に社内で重要なポジションを担う優秀な人材でした。しかし、より広範な経営知識と外部視点を養うため、M&Aに関連する外部セミナーへの参加を促し、事業評価や契約交渉の基礎を学んでもらいました。これにより、彼がスムーズに経営を引き継ぐだけでなく、その後の事業成長にも繋がっています。私たちは単に候補者を推薦するだけでなく、その育成プロセスにも深く関与します。
3-3. STEP3: 承継計画の策定と実行
後継者候補の育成と並行して、具体的な承継計画を策定し、実行に移します。
■ ・事業評価(バリュエーション)
貴社の事業価値を公正に評価し、株式譲渡価格の目安を算出します。これは承継元と承継先双方にとって納得感のある条件を提示するために不可欠です。
・承継スキームの検討: 株式譲渡、事業譲渡、会社分割など、最適な承継スキームを検討します。税務上の影響や法的な手続きを考慮し、最も効果的な方法を選択します。
・契約交渉・実行: 承継先との条件交渉を行い、基本合意契約(LOI:Letter Of Intent)や最終契約(株式譲渡契約書など)の締結を進めます。
この段階では、専門的な知識と経験が求められます。NTSでは、弁護士や税理士といった外部専門家との連携も密に行いながら、複雑な手続きを円滑に進め、経営者の方が安心して承継に臨めるようサポートいたします。
3-4. STEP4: 契約と引き継ぎ、そしてPMI
最終契約の締結と、その後の円滑な事業運営に向けたプロセスが重要です。
■ ・デューデリジェンス(DD:企業調査)
承継先が企業の財務・法務・事業リスクなどを詳細に調査するプロセスです。これにより、潜在的なリスクを洗い出し、最終的な条件調整に反映させます。
・最終契約締結・引き渡し: DDの結果を踏まえ、最終的な条件調整を経て契約を締結し、事業の引き渡しを行います。
・PMI(Post Merger Integration): 承継後の統合プロセスは、事業の安定的な成長を確実にするための非常に重要なプロセスです。新しい経営体制下での目標設定、組織文化の融合、業務プロセスの見直しなど、多岐にわたる課題に取り組みます。
■ NTSの視点
私たちは、承継が成立して終わりではなく、PMIこそが真の成功を左右すると考えています。円滑な引き継ぎはもちろんのこと、新体制が最大限のパフォーマンスを発揮できるよう、組織再編や業務改善のアドバイスなど、長期的な視点での支援を提供しています。
4. 親族外承継にかかる費用と税務のポイント
親族外承継には様々な費用が発生します。事前に把握し、計画的に準備することが重要です。
4-1. 主要な費用の内訳
親族外承継を進める上で発生する主な費用は以下の通りです。
■ ・M&Aアドバイザリー費用
NTSのような専門家への報酬です。成功報酬型が一般的で、レーマン方式(取引金額に応じて料率が変わる)が採用されることが多いです。初期相談や着手金が発生する場合もあります。
・デューデリジェンス費用: 弁護士、公認会計士、税理士などによる企業調査にかかる費用です。企業の規模や調査範囲によって大きく変動します。
・契約書作成費用: M&A契約書などの法務書類作成にかかる弁護士費用です。
・税務申告費用: 事業承継に伴う税務申告にかかる税理士費用です。
・登録免許税・不動産取得税: 不動産等の移転登記がある場合に発生します。
NTSでは、ご相談の段階で費用の目安を明確にご説明し、経営者の皆様が安心して手続きを進められるよう努めています。
4-2. 税務上のポイントと対策
親族外承継においては、税務上の影響も考慮し、適切な対策を講じることが不可欠です。
■ ・株式譲渡所得税
株式を譲渡した場合、譲渡益に対して所得税・住民税がかかります。現在の税率を理解し、手元に残る資金を試算することが重要です。
・贈与税・相続税: 後継者が株式を無償または著しく低い価額で取得した場合、贈与税や相続税の対象となる可能性があります。特に、個人間の取引ではこの点が大きな論点となることがあります。
・資金調達と税金: 後継者が資金調達に際して取得した株式の評価額によって税金が変動することもあります。
NTSの現場では、税務対策は承継計画の初期段階から専門家と連携して慎重に進めることが重要だと強く感じています。特に、事業承継税制(特定の要件を満たすことで、贈与税や相続税の納税が猶予・免除される制度)の活用を検討することで、税負担を大きく軽減できる可能性があります。
5. 親族外承継を成功に導くNTSの視点と支援
5-1. NTSが考える親族外承継成功の鍵
NTSでは、親族外承継の成功は、単に契約が締結されることだけではなく、承継後の事業が持続的に成長し、従業員や地域社会に貢献し続けることにあると考えています。そのために、以下の3つの鍵が重要であると認識しています。
■ ・信頼関係の構築
経営者と後継者、そしてNTSとの間の揺るぎない信頼関係が、困難を乗り越え、最善の解決策を見出すための基盤となります。
・理念の継承: 創業者の想いや企業文化を後継者が深く理解し、それを引き継ぎ、さらに発展させようとする強い意欲が不可欠です。
・長期的な視点: 目先の利益だけでなく、数十年先の事業の姿を見据えた計画と、変化に対応する柔軟な対応力が求められます。
私たちは、これらの鍵を常に念頭に置き、経営者の皆様の「伴走者」として、一つ一つのプロセスを丁寧に支援しています。
5-2. NTSが提供する具体的な支援内容
NTSは、親族外承継のあらゆるフェーズにおいて、経営者の皆様を強力にサポートします。
■ ・事業評価・承継スキームの策定支援
貴社の事業価値を適正に評価し、税務・法務の観点も踏まえ、最適な承継スキームをご提案します。
・後継者候補の探索・育成支援: 社内外のネットワークを活用し、最適な後継者候補の探索を支援。育成プログラムの策定にも深く関与します。
・金融機関交渉支援: 後継者の資金調達や連帯保証・担保の引き継ぎに関して、金融機関との交渉を全面的にサポートします。
・契約書作成・デューデリジェンス支援: 法務・税務の専門家と連携し、複雑な手続きをスムーズに進行させます。
・PMI支援: 承継後の新体制移行が円滑に進むよう、経営戦略や組織再編のアドバイスなど、長期的な視点での支援を提供します。
NTSでは、地方自治体との連携協定実績や600件以上の相談実績を通じて、幅広い業種・規模の中小企業の事業承継を成功に導いてきました。私たちは、画一的なM&Aではなく、個々の企業の特性に合わせたオーダーメイドの支援を提供することをお約束します。
5-3. NTSが支援したあるケースでの成功事例
NTSが支援したあるケースでは、年商約8億円の製造業の経営者が、長年の番頭として会社を支えてきた専務に事業を承継したいとご相談にいらっしゃいました。専務の資金調達力が課題でしたが、私たちは金融機関との間に立ち、経営者保証ガイドラインの活用を前提とした融資プランを構築。さらに、数年間の移行期間を設けて、経営権と株式の段階的な譲渡を提案しました。これにより、専務は資金的な負担を抑えつつ、スムーズに経営を引き継ぎ、従業員のモチベーションも高く維持されたまま、事業が発展的に継続されています。この事例は、親族外承継における資金調達と移行期間の設計が、成功の重要な鍵となることを示しています。
